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この時代に出版社で働く者の日記

組織大小について

ご縁があって大きめの会社で働いたことがある。

 

そこでは和書を売るプロ、洋書を売るプロ、洋雑誌を売るプロ、事務機備品を売るプロ、高等教育市場にソリューション提案するプロ、ひたすらに酒を飲むプロ。スーパー営業マン。優しい人、狂っている人、出世亡者。日本人、外国人。女、男。最低。屑。馬鹿。根性!色々な人がいた。

 

配属されたのは外商だった。様々な図書館や大学を歩いて御用聞きをした。

 

任される仕事は万事広く浅く。何事も上司の伺いを立てないと進められない。また人種が多様だから、ここぞと言うときには特にルールでしか縛りが効かないのだろう。だからいちいち仕事が止まる。転勤もある。精神的に参っていたのか、しばらくしたら辞めていた。

 

今は小さな出版社にいる。居させてもらっている。営業などを少々。ここで任されている仕事は狭く深い。また同時に、規模が小さいとこんなに裁量が与えられるのかと本気で驚く。そして、言うべきでないが、売り物も少ない。従ってKindleやらオンデマンドを企だてなければならくなった。

 

惨めな思いもしたけど、それが楽しかった。私の企てひとつで大の大人たちが社内外、何人も動く。いや、動いて頂いた。そしてその結果、コンテンツの即現金化が叶う。大組織では味わえない達成感が確実にあった。特に制作職の人たちが素晴らしかった。彼ら彼女たちと働いたことを生涯の誇りに思いたい。

 

大組織で働くと固い、しかし喜びはあまりない。

小組織で働くと様々に不安定で不安だが、職業人としての嬉しさがそこら辺にある。

 

という結論に達しつつあるが、私はまだあとひと月、旅行会話書を売るプロである。