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この時代に出版社で働く者の日記

死ぬ練習四日目

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昨日からポンコツ車で東北を巡行している。今は岩手。

 

練習最終日はやり残したこと、やり続けたいことを三つ。

 

「娘が大人になる様を見ること」

「妻子と旅行をすること」

「早川さんの店で焼酎を飲むこと」

 

今回も紙に書いて捨てた。これで全部失った。大したことない人生だったが、これで明日から真っさらな所からやり直すことが出来る。はず。

 

四ッ谷にある会社もついに一昨日辞めた。東京に戻ったら神保町での生活が始まる。そこで何年働くか、何十年働くか今はまだ分からないが、最後に出て行くとき、皆から送って貰えるようにやっていきたい。

 

四ッ谷の人たちは、最後に見送ってくれた。花を持たせてもらい、酒も持たせてもらい、ハンカチや菓子も持たせてもらった。傘も持たせてもらった。この国のサラリーマン、沢山の退職金をもらう人がいても、最後に皆から見送られる者は殆ど居ないのではないか。その点で四ッ谷時代の私は幸せ者だった。

 

四ッ谷の会社は近々引っ越しをすると聞いた。彼女たちは今ごろ、その準備でもしているのだろうか。

死ぬ練習三日目

例によって紙に書いては丸めて捨てる。

三日目は大切な思い出について。

 

「上京したときの興奮」

「外商時代のこと」

「柏の人たちに受け入れてもらったこと」

 

捨てるまで計一時間かかり、捨てた途端当時世話になったいろんな人達に会いたくなった。会って、あの時はどうもありがとうございましたと言いたくなった。

 

今からでも会いに行くべきかと思ったが、これは死ぬための準備。今さら誰にも会いに行くべきではないだろう。義理を欠いたまま全てを忘れることの方が自分らしい気もした。

 

ところで自分は常に漂流する存在ではないか。弘前と東京。東京と博多。博多と柏。安住した気分になったことは一度もない。そして今回の漂流は都内。四ッ谷から神保町へ。二度と出会うことのない束の間の風景に触れる最後の一週間。残り一週間で全てを忘れなければならない。

死ぬ練習二日目

大切なものを三つ紙に書いて捨てる。

 

「プリントオンデマンドのアカウント」

Kindleのアカウント」

Amazonマーケットプレイスアカウント」

 

どれも一分で捨てられた。

死ぬ練習は順調。

 

しかし上記三点が挙げられること自体が悲しい。どれも在庫がない版元故の苦肉の策だったからだ。

 

もう紙の本には力を入れません、取次との付き合いをやめますと会社に言われ、どれもこれも苦し紛れに探してきたものである。新刊出さない、重版も縮小とは、思うにあの時点で既に出版社ではなかった。

 

ただ、オンデマンド、Kindleさえあれば、重版コストがなくとも在庫が尽きようとも必要としている人にコンテンツを届けることができる。

 

そして現に私はこれらで家族を養って来ることが出来た。まだオンデマンド化、Kindle化されていないタイトルも数多くあるものの、あとはこれからの人たちにお任せするしかない。

 

死ぬ練習初日

面倒くさい。色々面倒くさいのだ。

 

いっぺん死んでやり直したくなったので、有名な死のワークを少々。

今日から自分に四つの問題を出す。

「下記についてそれぞれ三つ挙げて紙に書きなさい。書いたら丸めて捨てなさい」

 

「大切な人」

「大切なもの」

「大切な思い出」

「やり残したこと、もしくはやり続けたいこと」

 

初日は大切な人について。

 

一枚目に娘の名前。二枚目に妻の名前。三枚目に早川さんと書いた。

 

三枚目は五分後に捨てられた。二枚目は三十分後に捨てた。一枚目がなかなか捨てられない。いくらワークといっても、一時間以上かかってやっと捨てた。

 

元々三人とも二十代まで知らない人だったし、出会わなくても生きてきたことに気づいた。誰に期待しなくても、寄り掛からずとも、これからは生きていけるなと思った。捨てたら今日まで苛立ってきた事が消えて無くなったような気がする。

 

組織大小について

ご縁があって大きめの会社で働いたことがある。

 

そこでは和書を売るプロ、洋書を売るプロ、洋雑誌を売るプロ、事務機備品を売るプロ、高等教育市場にソリューション提案するプロ、ひたすらに酒を飲むプロ。スーパー営業マン。優しい人、狂っている人、出世亡者。日本人、外国人。女、男。最低。屑。馬鹿。根性!色々な人がいた。

 

配属されたのは外商だった。様々な図書館や大学を歩いて御用聞きをした。

 

任される仕事は万事広く浅く。何事も上司の伺いを立てないと進められない。また人種が多様だから、ここぞと言うときには特にルールでしか縛りが効かないのだろう。だからいちいち仕事が止まる。転勤もある。精神的に参っていたのか、しばらくしたら辞めていた。

 

今は小さな出版社にいる。居させてもらっている。営業などを少々。ここで任されている仕事は狭く深い。また同時に、規模が小さいとこんなに裁量が与えられるのかと本気で驚く。そして、言うべきでないが、売り物も少ない。従ってKindleやらオンデマンドを企だてなければならくなった。

 

惨めな思いもしたけど、それが楽しかった。私の企てひとつで大の大人たちが社内外、何人も動く。いや、動いて頂いた。そしてその結果、コンテンツの即現金化が叶う。大組織では味わえない達成感が確実にあった。特に制作職の人たちが素晴らしかった。彼ら彼女たちと働いたことを生涯の誇りに思いたい。

 

大組織で働くと固い、しかし喜びはあまりない。

小組織で働くと様々に不安定で不安だが、職業人としての嬉しさがそこら辺にある。

 

という結論に達しつつあるが、私はまだあとひと月、旅行会話書を売るプロである。

14330日目にしてブログ開設

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本格始動は11月12日にする予定だが、練習で少しずつ何かを発信する予定。

ノーテーマを是としたい。

 

あの野郎の家を燃やしに行こうとした話。

娘と一緒に頑張った夏休みの話。

四ッ谷の馬鹿なめし屋について。

正しい禿げ方、間違えている禿げ方について。

禁煙の失敗と成功について。

人生の失敗と成功について。

紙の本の話。

スマホアプリについて見聞きしたこと。

書店の話。

企業で働くことについて。

社長室のブランデーについて。

Gabberの用法について。

博多で生きていた頃のこと。

神保町で働くことについて。

神保町で憩うことについて。

御茶ノ水の怪人早川氏のこと。

 

風呂で思いついただけでも結構あるものだ。書き殴りたいこと。