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この時代に出版社で働く者の日記

死ぬ練習三日目

例によって紙に書いては丸めて捨てる。

三日目は大切な思い出について。

 

「上京したときの興奮」

「外商時代のこと」

「柏の人たちに受け入れてもらったこと」

 

捨てるまで計一時間かかり、捨てた途端当時世話になったいろんな人達に会いたくなった。会って、あの時はどうもありがとうございましたと言いたくなった。

 

今からでも会いに行くべきかと思ったが、これは死ぬための準備。今さら誰にも会いに行くべきではないだろう。義理を欠いたまま全てを忘れることの方が自分らしい気もした。

 

ところで自分は常に漂流する存在ではないか。弘前と東京。東京と博多。博多と柏。安住した気分になったことは一度もない。そして今回の漂流は都内。四ッ谷から神保町へ。二度と出会うことのない束の間の風景に触れる最後の一週間。残り一週間で全てを忘れなければならない。